これから研究医を目指す学生が自分を語ります。
*第3回*  (H24.2.1 UP) 前回までの掲載はこちらから
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今回は筑波大学医学専門学群医学類 金丸 和正 さんです。
「研究室実習で学んだこと」

      
                    筑波大学医学専門学群医学類6年 金丸 和正

 私は、基礎免疫学教室の渋谷彰教授のもと、新医学専攻の学生として5年生の冬から約半年間研究をさせて頂きました。渋谷教授をはじめとした教員の先生方、研究室に在籍されている研究員、技術職員、大学院生、卒研生の皆様方、そして秘書の方など、様々な方達にお世話になり、非常に有意義な研究室実習生活を送ることができました。
 私は2年生の頃に、研究に関心を持ち始めました。高校で生物学について深く学んでいなかった私が医学類に入り、改めて大学の講義を通して生物学を勉強する中で、面白いと感じることが多くあったためです。特に免疫機構は体内と体外を含めた関わりの上に成り立っているものであり、またそれらの関係を担う体内の細胞、及び体外の微生物やウイルスが多種多様であるため非常に興味をそそられました。ただ研究とはどういうものなのかがさっぱり分からなかったので、まずは研究室を訪れてみようと思いました。
 筑波大学医学類には研究室演習という低学年から研究室を訪問できる制度があります。その制度を利用して3年生の1年間は基礎免疫学教室の輪読会に参加させて頂きました。免疫学に興味を持ったばかりの自分にとってその日は毎週楽しみな日で、疑問に思ったことについて自由に先生方と議論することができました。やはり面白いと思うと共に、実験してみたいという気持ちが大きくなった1年でした。
 4年生になって臨床実習が始まり、膠原病リウマチ内科の実習で再度免疫学と触れる機会がありました。臨床免疫学教室の松本功准教授に実験がしたいとお願いしたところ、週1回実験の指導をして頂けることになり、10ヶ月間ほど通わせて頂きました。松本准教授には基本的な実験の取り組み方を教わりました。その中でも私は基礎免疫学の研究をしてみたいという思いが強かったため、新医学専攻での研究室実習は基礎免疫学教室で行おうと決めました。
 今回の研究室実習では、ある程度決まっていた計画を先生や大学院生の方達に教わり、議論しながら行いました。具体的にはモノクローナル抗体の作製を行いました。ある抗原に対する特異的な抗体を得るために、まずその抗原をマウスに免疫します。するとマウス内の免疫機構が働いて、その抗原に対する抗体を産生するB細胞というリンパ球が増殖します。そのB細胞を採取して腫瘍細胞と融合させることによって、永続的に抗体を産生する細胞(ハイブリドーマ)を得ます。最後に抗原を用いて、得たハイブリドーマをスクリーニングし、目的の抗体を産生するハイブリドーマを樹立します。この工程のそれぞれのステップに多くの準備が必要であり、また一度では成功しないことが大半でした。思うように予定が進まないこともありましたが、日々の実験結果の中には小さな面白さがふんだんに詰まっており、楽しかったという記憶が今は強いです。この実習中に様々な種類の実験を行えたこと、またその中の1つ1つの実験について、どのような実験をしたら考察に足る結果が出るのかという点について考えられたことが、この実習での大きな成果だったと感じています。ある目的のもと、自分で実験の計画を立て、実行し、結果を考察して次に繋げるという過程が、私にはとても魅力的に感じられました。
 以上のような経験が、進路決定に大きな影響を与えました。医学類卒業後、臨床研修をするかどうかについては大変悩みましたが、最後は単純に考えて今は研究がしたいと思ったため、大学院に進学し博士課程として基礎免疫学教室で研究することに決めました。
 動機の根本は好奇心です。低学年で講義を受けた時に、この分野には何か面白いことがあるのではと感じました。その後はその感覚を大きく深くしていくことを心がけています。免疫学を学ぶにつれて、この分野はとてつもなく広く、また複雑だということを感じます。色々なことが分かってきているような雰囲気がありますが、正直私にはまだよく分かりません。その原因の1つとして、様々な研究で明らかにされている因子のうち、どの因子が人体のどの表現型にとって、どれほど強い因子なのかが客観的に分からず全体像が捉えきれていないということがあると思います。まずはその点を明瞭にすることを考えながら今後始まる研究に励もうと思います。将来自分の手でも、自然界の中の強い因子、もしくは今までにない概念を見つけられたら幸いです。