これから研究医を目指す学生が自分を語ります。
*第63回*  (2021.4.26 UP) 前回までの掲載はこちらから
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今回は兵庫医科大学5年 三宅 貴登さんです。


                          兵庫医科大学5年 三宅 貴登
   

自己紹介
 兵庫医科大学5年の三宅貴登です。3年生から研究医コースとして病原微生物学講座に所属させていただき、研究の世界について様々なことを学ばせて頂いております。配属前はダンス部と剣道部に入部していましたが、現在はストリートダンスのみ趣味で続けています。

参加動機
 はじめに研究医コースへの参加を決めた動機について語らせて頂きます。本学のカリキュラムでは2年次の冬に基礎研究系の講座へ配属するタームがあり、その際に希望した研究室で研究の世界に触れることができます。私自身そのときに病原微生物学講座へ配属させていただいたのですが、石戸教授やその他の研究室のメンバー全員から良心的に面倒をみてもらい、実習後も何度か出入りさせてもらってお世話になりました。基礎配属で実験を見学させてもらったり、一部実際に手伝わせてもらえたりするうちに試験勉強よりも楽しい、興味深いといった感情が芽生え、その後も研究室へ出入りしているうちに研究医コースの存在を知り、実際にサイエンスを身体で感じたいと決意して本プログラムに参加させて頂きました。
 両親ともに医師ではあった私ですが、恥ずかしながら基礎研究についてしっかり認識したのは大学に入ってからであり、右も左もわからない自分が研究医コースに参加したとしてもついていけるのだろうか?といった不安はありました。本学の研究医コースは“研究を志す学生のシャペロン”として設置されており、所属研究室による研究指導だけでなく将来の不安や進路についてのアドバイスなどの様々な支援体制が我々の新たな門出をサポートしてくださります。配属から2年以上経ちましたが研究医コースに参加してよかったなと思えています。

研究医コースでの成長
 夏にコンソーシアム合宿、冬に研究成果報告会の年2回発表機会を設けられるのですが、3年で研究医コースに入ってから初めての発表会では自己紹介とこれから研究していくにあたって簡単な意気込みを述べるだけであったのですが、人前に立つことに苦手意識があったので同行してくださった教授やひとつ上の研究医コースの先輩方がいなければつぶれていたのではないかというほどとても緊張し、声が震えていたことを覚えています。しかし研究医コースでの2年間を経て4年の冬の報告会の時には発表も質疑応答も所属した時より成長できていたのを感じられましたし、他の方の発表を聞いてこの分野も面白そうだな、といった興味を持てるようにもなっていました。
 研究テーマは当研究室で同定されたE3ユビキチンリガーゼを過剰に発現させたマウスが自然に腸炎を発症することに着目し、その腸炎のメカニズムの解析に関与させていただきました。自分自身が入学直前から自己免疫系の疾患を患っており、その時から免疫と腸内細菌の分野に興味を持っていたので、希望通りの領域で研究医コース生としてイロハを学ぶことができました。もちろん研究室の雰囲気がよかったということもありますが、自分にとって興味のある分野であったため、難しいことの連続や苦しい時期も少なからずあったもののなんとか今日まで学び続けることができています。勇気を出して当研究室を希望してよかったなと思います。
 今後の抱負としましては、途中で体調を崩してしまい、想定していたより学び足りていないのではないかといった未練が少し残ってしまったので、5年次末から始まる選択実習の期間を利用して再び研究室に配属して実験をさせてもらう予定です。臨床実習でしばらく研究室から離れていたので今の段階では私自身の希望止まりなのですが、組織切片を作成し実際の炎症を解析していけたらなと考えています。

 最後になりますが年々医師国家試験が難化し、各大学カリキュラムもそれにならってハードなものとなっていっており、余力のない方も少なくないとは思いますが、机の上の勉強だけでは学べないことを学ぶことが出来、教授や指導教官の話から思いがけない新世界を見つけられる可能性もありますので、少しでも研究に興味があるならば研究室に出入りさせてもらうだけでもお勧めします。