*第60回*  (H29.7.21 UP) 前回までの掲載はこちらから
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今回は群馬大学での取り組みについてご紹介します。

群馬大学医学部の地域医療人育成に関する取り組み
文責 :  群馬大学医学部 医学部長 石崎 泰樹 先生
 群馬県においても医師の地域偏在や診療科偏在が喫緊の課題となっています。群馬県における地域医療の充実化を目指し、群馬県から修学資金を貸与される「地域医療枠」の群馬大学医学部医学科の入学定員は、平成21年度に5名でスタートし、平成23年度からは18名となっています。地域医療枠学生の1期生が平成27年4月に初期臨床研修を開始しました。今回、群馬大学医学部が群馬県と連携して地域医療人育成に取り組んでいる「群馬県地域医療支援センター」活動と現在設置準備を進めている「地域医療研究・教育センター」について紹介します。

1.群馬県地域医療支援センターの活動
 平成25年10月に群馬県が事業の一部を群馬大学に委託する形で、群馬県地域医療支援センター(http://www.gmcc.jp/)が群馬県健康福祉部医務課医師確保対策室と群馬大学医学部附属病院医療人能力開発センターに地域医療支援部門として設置されました。センター長を群馬県健康福祉部長、副センター長を群馬大学医学部附属病院医療人能力開発センター長が務め、専任医師2名、専従職員3名が配属されています。主な業務は、①医師不足状況の把握・分析、②医師不足病院の支援(群馬県ドクターバンク)、③医師のキャリア形成支援、④情報発信と相談への対応、⑤地域医療関係者との協力関係の構築です。
 中でも最も力を入れているのが、③医師のキャリア形成支援(図1)です。群馬県では、将来の地域医療を担う若手医師のキャリア形成を支援する目的で、「ぐんま地域医療リーダー養成キャリアパス」を作成しました(図2)。地域医療枠卒業生は原則として本プログラムに参加して地域間・病院間をローテーションしますが、希望する専門分野・領域の研修や新専門医制度における専門医資格の取得、各専門分野の研究やサブスペシャルティ資格、学位の取得などにも積極的に取り組めるよう配慮しています。群馬県における地域医療のリーダーとして活躍する医師を養成することを目的としたキャリアパスとなっています。
   図1. 群馬県地域医療支援センターにおける医師のキャリア形成支援
 
   図2. ぐんま地域医療リーダー養成キャリアパス
   

2.地域医療研究・教育センターの設置
 群馬大学医学部附属病院では、腹腔鏡手術等の医療事故に対する医療事故調査委員会からの報告書ならびに病院改革委員会からの提言を真摯に受けとめて様々な改革に取り組んでいます。改革の柱としての「医療の質・安全学講座」の新設ならびに「先端医療開発センター」の設置にあたり、群馬県、群馬県医師会や県内医療機関等とも協調・連携して、医師の人材交流や育成を行い、県域の医療ネットワークを充実させ、群馬大学がその中核となって、より質の高い医療安全教育と安全性が確保された先進的医療を地域に提供し、県域全体の医療レベルの向上に貢献するための改革の3本目の柱として地域医療支援センターの機能を拡充した「地域医療研究・教育センター」を設置することとしました(図3)。主な業務内容として、①県内各地域の医療事情を集約・検証し、県全体で医師の配置や医師をはじめとする医療スタッフの人材育成のあり方等の検討、②医師のキャリアパスを提示し、卒前・卒後を通じたシームレスな教育システムの導入等を予定しています。
   図3. 地域医療研究・教育センター設置促進会議
   

 平成29年度の取り組みとして地域医療研究・教育センター設置促進会議及び設置準備室を設置し、群馬県委託事業として専従教職員(医師1名、事務職員1名)を配置しました。設置促進会議は、センター設置に向けて関係機関との協調・連携を図り、センターの役割及びあり方等の検討を行い、設置準備室は、センター設置促進会議の事務局として、センター設置に向けた調査・検討及び準備に関する業務を行っています。平成29年度は、設置準備室において地域の医師配置の適正化基礎データの調査や各地域医療機関の特色や機能及び指導体制等についての調査を行う予定で準備を進めています。
 群馬県、群馬県医師会、県内医療機関等と連携して、医師の地域偏在や診療科偏在を解消するとともに、新専門医制度に対応した医師のキャリア形成支援を進めて行きたいと考えています。

(協力 群馬大学大学院医学系研究科臨床検査医学教授、群馬大学医学部附属病院病院長補佐(地域連携担当)、群馬大学医学部附属病院患者支援センター長、群馬大学医師会会長 村上 正巳先生)