これから研究医を目指す学生が自分を語ります。
*第16回*  (H25.3.22 UP) 前回までの掲載はこちらから
研究医養成情報コーナートップページへ戻る 
今回は千葉大学医学部5年生 藤井 早紀子さんです。

          千葉大学医学部5年(MD-PhDコース神経生物学講座) 藤井 早紀子
     
MD-PhDコースへ参加の動機
 私は現在、千葉大学医学部5年生で、3年次での入学(MD-PhDコース入学)と同時に神経生物学講座に所属し、山口淳准教授に師事しています。千葉大学のMD-PhDコースは学士編入学制度になっており、4年制大学の既卒者が医学部3年次に編入し、一般入学者と同じ医学教育カリキュラムを履修します。在学中は4年間研究指導を受け、卒業後は医師免許を取得し、大学院医学薬学府博士課程に進学して医学・医薬学博士の学位の取得を目指します。
私は元々全く違う分野で大学生活を送っていましたが、神経疾患に強い関心を持っていたことから医学研究者を志して千葉大学のMD-PhDコースへ入学しました。小学生の頃の私は、科学や実験が好きで毎月実験器具が付録の科学雑誌を購入しては実験をし、研究者に憧れていました。成長するにつれ、心理学や考古学など幅広い学問に興味を持つようになった私は高校卒業後、一旦文学部に進学しました。しかし、他学部で受講した分子生物学の授業をきっかけに改めて研究の世界に興味を持ち、実験原理・技術を学ぶため生物学専修の学部に編入しました。卒業研究では、ゼブラフィッシュを用いた小児てんかんの原因遺伝子の形態学的解析を行いました。研究に着手する以前はPhDになる予定でしたが、卒業研究を始めるにあたり、テーマを理解するためてんかんの検査や治療法などを見たのですが、よく理解できず、医学の勉強をしたいと思うようになりました。また、このテーマは臨床医の先生が考えたテーマであったことから、MD-PhDであればより面白い研究テーマに出会えるのではないかと考えました。以前に所属していた研究室の先生に薦めていただき、千葉大学MD-PhDコースに入学し、現在に至ります。


MD-PhDコースでの実績
 現在は家族性ALSの原因遺伝子であるFUS/TLSの機能解析をテーマに研究しています。学会発表としてポスター発表を1回、口演発表を2回行い、口演発表では学会奨励賞をいただくことができました。
1.Identification of a novel binding partner for FUS/TLS. Sakiko Fujii, Hideaki Miyachi, Syunsuke Koga, Keiko Kitajyo, Atsushi Yamaguchi. (ポスター発表)第34回日本神経科学会-こころの脳科学、2011年9月14日-17日、横浜
2.The effect of arginine methylation on the nuclear-cytoplasmic shuttling of FUS/TLS.  Sakiko Fujii, Keisuke Takanashi, Muneki Sakamoto, Keiko Kitajyo, Atsushi Yamaguchi, (ポスター発表)第36回日本神経科学会-こころの脳科学、2013年6月20日-23日、京都(予定)
3.「家族性ALSの原因遺伝子FUS/TLSのアルギニン・メチル化の意義」(口演発表)学会奨励賞受賞、第8回Chiba neuroresearch meeting
4.家族性ALSの原因遺伝子FUS/TLSの新規治療薬の可能性」(口演発表)学会奨励賞受賞、第6回Chiba Basic & Clinical Research Conference

MD-PhDコースに参加して思ったこと
 入学してから感じていることは、私は人に恵まれているということです。入学当初より、MD-PhDコースの先輩方には研究面、学業面で貴重なアドバイスをいただいてきました。また、様々な経歴を持つ同級生からも刺激を受け、豊かな学生生活を送ることができていると思っています。それから、私は現在、学生研究の会「獅鷹会(しようかい)」の代表を務めさせていただいています。獅鷹会はresearch mindを持った学生が勉強会を主催しており、既に研究している学生、これから研究したい学生の交流の場となっています。獅鷹会の活動の一環として、関東四大学研究医養成コンソーシアム夏のリトリートへの参加があり、他大学の研究をしている学生と出会え、研究生活の話をできるのは非常に楽しく、私は毎年楽しみにしています。獅鷹会の月1回の定例勉強会には、白澤浩教授、高橋和久教授、坂本明美先生が毎回出席してご指導くださっており、大変感謝しております。さらに、MD-PhDコースの学生担当であり、獅鷹会顧問である三木隆司教授には研究に対する姿勢を教えていただきました。
 そして最後となりましたが、山口先生、技術補佐員の北城さんのおかげで研究ができているだけでなく学会発表など貴重な経験ができ、素晴らしい賞状までいただくことができました。3年次では別のテーマで実験をしていてなかなかデータが出ず、学業との両立にも苦労しました。しかし、山口先生が熱心かつ丁寧にご指導くださったおかげで現在があります。この場をお借りして御礼を言わせていただきたいと思います。誠にありがとうございます。

将来への抱負
 卒業後は臨床研修を修了し、その後研究生活に戻りたいと考えています。完全に基礎に入るかどうかはわかりませんが、医学研究の一端を担える一人前の研究者になれるよう努力する所存です。