これから研究医を目指す学生が自分を語ります。
*第17回*  (H25.5.30 UP) 前回までの掲載はこちらから
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今回は慶應義塾大学医学部4年生 鎌田 亜紀さんです。

慶應義塾大学医学部4年 鎌田 亜紀
     

 医学部4年の鎌田亜紀と申します。研究医養成プログラムに1期生として参加させて頂いております。
 私が研究医養成プログラムに参加したいと思った理由について今回改めて考えてみましたところ、最初の動機は、高校で進路を医学部に決めたころに遡ります。そもそも私が医学部を受験しようと思ったきっかけは、私が中学2年から高校2年くらいの時に何回かにわたって放送された、あるテレビのドキュメンタリーを見たことでした。その内容は、私と同い年で、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群の少女(アシュリーさん)が、その現実と向き合いつつ限られた時間を全力で生きている様子に密着し、さらにプロジェリアの研究でどのようなことが分かってきたのかを紹介するというものでした。そのドキュメンタリーを見る度に私は、不治の病に対する恐怖を感じると共に彼女の明るさと圧倒的な前向きさに元気づけられました。しかしあれほど前向きにエネルギッシュに生きていた人が17歳という若さで亡くなってしまったことがすごくショックで、空しさを感じました。それまでは病院に行けば何でも治してもらえると思っていたのですが、医者にかかっても治らない病気があることを知って、病気についてもっと知りたいと思い、それが医学部に入りたいという希望につながりました。実際に医学部に入って勉強してみると、医師の行う治療はまだまだ進化している最中なものが多くあること、臨床での治療と同時に医学研究も盛んに行われていることを知り、機会があれば自分も研究をしてみたいと思うようになりました。ちょうどそんな時に研究医養成プログラムのことを伺い、絶好の機会だと思って参加させて頂きました。
 研究医養成プログラムが医学部3年でスタートすると、学部の授業のない時間帯に、週2コマの大学院の特別講義を受けつつ1年間かけていくつかの研究室をローテーションさせて頂きます。私の場合ローテーションが始まって最初の半年程は、研究者の先生の実験を見学したり、電気泳動や無菌操作等の基本的な実験手法を1から教えて頂きました。今は少し慣れてきたので、引き続き基本的な実験を学ぶのと同時に、徐々に与えて頂いたテーマに沿って先生とご相談しつつある程度自分で予定を立てながら手を動かせるようになりました。また、実験を教えて頂くのに加えて、内容的に関連のあるセミナーに研究室の先生方と一緒に参加することで、先生方が普段どのような生活をしていらっしゃるかを間近で見ることが出来ました。

 このコースで私にとって最大の推進力となっているのが、メンターの先生に頂くアドバイスです。実際にコースが始まってみると、学部の勉強と研究室をどの程度の比重で考えたらいいか、論文をどのように勉強したらいいか、ローテーションでは具体的に何をすればいいか等、分からないことばかりでした。メンターの先生が定期的に面談やメールでのアドバイスをしてくださることで、そのような戸惑いを1つ1つ解消して先に進むことが出来ていると思います。

 また、研究医養成プログラムは研究室やセミナーに参加する良いきっかけになりました。それまでは研究に漠然と興味があっても、様子が全く想像もつかないのでなかなか前に1歩踏み出せませんでしたが、ローテーションという形で研究室にお世話になってはじめて、研究室の具体的なイメージが少しずつ持てるようになり、その研究室で研究なさっている分野についてもっと知りたいと強く思うようになりました。

 さらに、複数の研究室をローテーションできたことも、自分が将来学位取得のための研究を行う研究室を選ばせて頂く上でとても有意義でした。医学部の勉強をしているうち、動機となった早老症(プロジェリア)の他に、がんや精神疾患もとても興味深いと思うようになっていたので、自分が具体的にどの分野に興味があるのか最初は正直よく分かりませんでした。全く異なる分野の研究室をローテーションさせて頂いたことで、広く色々な実験を見学でき、また様々な分野の先生方にお話を伺うことができました。各ローテーションの期間が3,4カ月と短く、実験の最初の入り口を教えて頂くくらいの時間しかないのは少し残念でしたが、HPを見たり勉強会に1,2回参加するだけでは分からないような、その研究室の研究内容や雰囲気を体感することができました。お世話になったどの研究室でも先生方にはとても親切にして頂き、また研究内容もとても興味深く勉強させて頂きました。数カ月間実際に研究室のなかで生活させて頂いたことは、今自分が1番興味の持てる研究室をじっくり考えるとても良い機会になりました。
 研究医養成プログラムに参加させて頂いて1年間、メンターの先生をはじめ諸先生方・学事の方々のご厚情のもと、毎日が新鮮でとても楽しい日々を送らせて頂いています。今までさせて頂いた貴重な体験と、メンターの先生をはじめ沢山の先生方に頂いたアドバイスを肝に銘じて、これからも頑張りたいと思います。