これから研究医を目指す学生が自分を語ります。
*第40回*  (H29.6.5 UP) 前回までの掲載はこちらから
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今回は福井大学大学院医学系研究科 分子遺伝学教室 新田 祥代さんです。
「今やりたいことを大事に」
                     
                 福井大学大学院医学系研究科分子遺伝学教室 新田 祥代
  分子遺伝学教室 菅井学教授と  

 福井大学大学院1回生の新田祥代です。わたしは2017年3月に福井大学医学部卒業後、ATMプログラム(大学院早期履修コース)を利用して大学院に入学し、同時に福井大学医学部附属病院で初期研修医としての研修を始めました。まだまだ実験を始めたばかりのわたしですが、少しでも研究の道を考えていらっしゃる学生の皆さんの参考になればと思い、筆を執らせていただきました。

・大学入学〜
 ある日、学年の掲示板に貼られた学生イベントのポスターをきっかけにわたしの研究への道は大きく開ける事となりました。前々から研究に興味は持っていたものの、なかなか機会を見つけられずにいた2年次生の頃にこのポスターを見つけたので、すぐに参加申し込みのメールを送ったのを覚えています。このイベント
「四大学合同リトリート」は4つの大学の基礎医学研究を志す医学生を対象に1泊2日で講演やディスカッション、懇親会などを通して交流するというものでした。その後、4年次生までの間に4回参加し、どの年のイベントも楽しく興味深いものでしたが、今でも、最初に参加したときの驚きは忘れられません。わたしの周囲には研究に興味を持っている学生はほとんどいませんでしたが、イベント会場には各大学から多くの学生が参加しており、中には同じ2年次生で既に実験をしてポスター発表を行っている人もいました。研究したいと強く思えたのも、そこでたくさんの交流を持ち、様々な学生のみなさんの話を聞けたからだと思います。

・4年次生〜
 福井大学では大学院の早期履修ATMプログラムがあり、学部4年次生から大学院の講義の一部を受講することができ、卒業後本学大学院に入学すると正式に単位に認定されます。学生イベントを通して、研究への興味が高まったわたしも4年次生の春からこのプログラムを利用し、週に2〜3日ほど、大学の授業が終わった18時から大学院の校舎で講義を受けていました。また4年次生の終わり頃には、卒業後の進路について考え始めましたが、基礎医学に興味があるのはもちろん、臨床医学にも面白さを感じていたので、どのような道を選べばいいのかとても悩みました。研究はやはりハードルが高く難しいものだったのか…と感じ始めた矢先、先述のイベントの頃からよく相談にのってくださっていた福井大学ゲノム科学・微生物学教授の定先生が、分子遺伝学教室に赴任されたばかりの菅井教授をご紹介してくださりました。すぐに先生の研究について、お話の機会をいただき、その内容に大変興味をもち研究したいという思いが再び沸き上がりましたが、同時に初期研修をしたいという思いも捨てきれませんでした。どちらかだけは選べない!どちらもやりたい!そんな我がままな気持ちを菅井先生にお伝えすると、先生はわたしの二兎を追って二兎とも手に入れたいというチャレンジに快く協力の意を示してくださり、どうやったら上手く同時に行えるのか一緒に考えてくださいました。それから卒業まではあっという間でした。卒業試験の合間に、大学院入試を受け、研修病院の面接に行き、国家試験を駆け抜け、バタバタした1年でしたがやりたいことへ突き進んでいる実感があったのでとても楽しかったです。

・大学卒業〜
 分子遺伝学教室の方々はもちろん、福井大学医学部附属病院の臨床研修センターのみなさんもわたしの挑戦に尽力くださり、現在、なんとか初期研修医と大学院生としての日々を送っています。どちらの世界でもまだ何もできないひよっこなので、毎日覚える事が山積みです。それでも、やりたくて始めたことですから、どんなことも興味深く、失敗してしんどい時も楽しく過ごせています。この原稿を書いているのは5月ですので、これからたくさんの予想もできない大変な事がおきると思いますが、今やりたいことを大切に楽しんでチャレンジを続けていきたいと思います。

終わりに…
 現在に至るまで、悩み迷うわたしを指導し、励ましてくださいました福井大学医学部の先生皆様に感謝申し上げます。とても楽しく素晴らしい学生生活でした!今後も、大学院生、初期研修医として、なにかとご迷惑おかけすると思いますが、よろしくお願いいたします。
 菅井先生、分子遺伝学教室のみなさまにも大変感謝しております。我がままなわたしの希望を受け入れてくださり、ありがとうございます。丁寧な指導のおかげで、少しずつですができることも増えてきました。これからもよろしくお願い申し上げます。
 そして、わたしに基礎医学の面白さを教えてくださり、研究への道の第一歩を踏み出す勇気をくださった先の分子遺伝学教室教授 故横田義史先生、先生と出会わなければ、わたしは研究に興味を持ちつつも、この世界に足を踏み入れる事はなかったと思います。今後少しでもご恩をお返しできるようにがんばります。