これから研究医を目指す学生が自分を語ります。
*第42回*  (H29.10.16 UP) 前回までの掲載はこちらから
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今回は岐阜大学医学部医学科3年 鈴木 博貴さんです。
 
                        岐阜大学医学部医学科3年 鈴木 博貴
  腫瘍病理学講座研究室にて  

 岐阜大学では学生研究員という制度を行っています。私はこの制度を利用して、研究に携わっている先生方のお手伝い等を行っています。この制度は、2学年のカリキュラムである研究室配属に引き続き、学生が研究に参加することで、研究のおもしろさを体験し、将来医学研究を志す研究者を育てることを目標として実施されています。
 そのプログラムを利用して、私は現在、岐阜大学医学部腫瘍病理学講座に所属して勉強させて頂いています。この教室で私は主に、研究活動と勉強会への参加の、2つの活動をさせて頂いています。

①研究活動
 研究活動としては主に教室で研究している先生に教わりながら、実際に実験操作に携わっています。私は、Sox2⁺発現細胞の下垂体での追跡により、マウス下垂体組織 (in vivo) の細胞の増殖能および多分化能について研究しています。この研究は、下垂体での組織幹細胞の基礎研究であり、即座に臨床への応用がなされうるものではありません。しかし、下垂体の再生医療における治療法の模索へとつながる可能性を秘めており、実験操作を行わせていただけるという面だけでなく、研究内容自体としても非常に興味深く、充実した研究を実感しています。

②勉強会への参加
 腫瘍病理学では、毎週月曜日に勉強会を行っています。その内容は主に以下の3つです。
1.研究経過報告
2.抄読会
3.症例検討会
 そのうちここでは研究に関連する研究経過報告と抄読会について紹介します。
 一つ目の研究経過報告は、当研究室に所属し研究されていらっしゃる先生方がそれぞれ各週にひとりずつ研究中の経過内容についてのプレゼンをされ、その内容について先生方が皆で話し合いながら研究の方針をさらに練り上げたり、確認を行ったりし、より研究内容を深めていきます。ここでは、自分の担当している実験の内容が練り上げられて、結論に向けて次の一歩をどのように進めていくのかという地道な過程を目の当たりにできるだけでなく、自分の担当していない研究についても実験概要とその経過を知ることできるという点で、他の実験での操作、結果や、多様な分野への新たな興味を生む機会となっていると感じております。
 二つ目の抄読会では、その週の担当の先生が興味深いと思う論文を論文データのプリントとともに紹介、読み合わせを行い、疑問点についてディスカッションをしていくというものです。こちらは、自分は比較的低学年であり、知識において未熟な面も多い身ではありますが、今のうちから論文・実験結果の解釈の読み方を学ぶことができるという点で、大学の授業だけで学ぶことのできない、基礎研究の現場での考え方を学ぶ足掛かりになっています。さらに、ディスカッション形式で学びを深めることができるという点で、前述のような研究経過報告のように、複数人で一つの研究について深めていく、自分の持っていなかった視点から考えることができるというメリットも感じています。

 研究室で研究することで私自身は研究活動と勉強会それぞれの意義・おもしろさを感じています。ここまでにも述べましたが、研究活動では、研究モデルを考え、その手段として実験をしていく、そしてその結果を見て、さらに考えていくという研究自体の楽しさがあります。そして、勉強会では、研究者が研究内容を議論し、深めあっていく、その過程、雰囲気を実感できることが非常に興味深く、面白いです。また、この雰囲気というのは実際に経験しないと分からないものであると同時に、研究者としての態度を形成するうえで、まず初めに接しておくべきものであり、非常に価値が大きいものであるととともに、一朝一夕に得られるものではないと思います。

 もちろんそれぞれの研究内容も大変興味深いものですが、さらに、研究内容そのものの知識だけではなく研究者が、研究を考えていく、話し合っていく、そして一つの成果に向けてさらに追及していく、その過程の一端に学生の今の時期から触れられることは、非常に充実した日々を送らせていただく契機であると同時に、なかなか得られない経験であると思っています。

 今後も研究を続けてゆき、今携わっている研究において先生方とともに成果までたどり着くだけでなく、やがて、大学を卒業したのちもこのような研究生活の過程で得られた経験を活かしていけるよう、そして新たな研究において成果を出せるよう、日々精進していきたいと思います。

 最後にこのように研究し、学ぶ機会をくださっている先生方に感謝を申し上げて閉めさせて頂きます。本当にありがとうございます。