自己紹介
金沢医科大学医学部5年の阪上大昌です。現在、臨床医を目指し、日々の臨床実習に励んでいます。私は本学のStudent Researcher Programを活用し、2年生のころから解剖学Ⅰ教室に研究のために通わせていただいています。今回、このような記事を書く機会をいただき感謝申し上げます。私が学生生活中に研究を通して体験したこと、得た成果、そして国際学会で発表する機会をいただいたことについて書かせていただきます。
きっかけ
研究室に通い始めるきっかけは2年時の発生学の講義でした。解剖学Ⅰの八田稔久教授が、講義の合間に教室で取り組んでいる研究テーマやそれらの研究に学生も参加できるという話をしてくださいました。また、親しい先輩もすでに他の教室で研究をしており、この先輩から本学ではStudent
Researcher Programという学生の研究を支援する制度があり、これを活用して研究に参加できることを教えてくださいました。もともと形態学が面白いと思っていたこともあり、一度だけでも話を聞きに行こうと解剖学Ⅰの研究室を訪ねてみました。教授が一通り話をしてくださった後、早速どのテーマにするかと尋ねられ、その場で気になるテーマを答え、その日から研究を開始することになりました。
研究を始めてみて
母体のLIF(Leukemia inhibitory factor)が胎児大脳発生にどう影響するかというテーマをもらい、研究を始めました。まず免疫染色などの染色法やPCRなどの手法を教えていただき、自分で予備実験・条件検討をはじめてみましたが、なかなかうまくはいきませんでした。その都度、先生方から適切なアドバイスをいただき、どこの手順に問題があるのかを検討するために方法の1つ1つを見直し、変更を繰り返しました。
しかし、普段は授業と部活、アルバイトの合間に研究室に行っていたこともあり、なかなか研究が進むことなく時間だけが過ぎていきました。それでも、先生方はせかすこともなく、つまずく度にアドバイスをくださり、見守ってくださいました。そのような環境を作っていただけたため、ゆっくりと考え、じっくり研究に取り組むことができました。
国際学会での発表
このような状況で研究を進めていた中、八田教授がアメリカの学会へ行こうとおっしゃってくださいました。私は英語もうまく話せず、思ったような成果も出ていなかったため、冗談だろうと思っていました。しかし、何度か勧められるうちに行ってみたい気持ちになりました。そして、成果が出はじめ、何度か国内の学会でポスター発表をする機会をもらい、プレゼンテーションを数回ほど繰り返した後、4年生(2018年)の秋にサンディエゴで行われたSfN(Society for Neuroscience) annual meetingでポスター発表する機会をいただきました。この学会では、母体のLIFが胎児大脳におけるGABA作動性ニューロンの発生にかかわる遺伝子の発現を増加させたことについて発表しました。4年次のカリキュラムが大幅に変更になったこともあり、抄録やポスターの作成、あるいは発表の準備に十分な時間をかけることができませんでしたが、これらの過程で、自分の結果を考察しまとめることやこの分野における英語での表現方法など、通常の学校のカリキュラムでは学べないことも多く学ぶことができました。
SfNの発表の場では、様々な国籍の研究者の方々から質問がありました。質問に対しての説明がうまく英語で伝わっていたかはわかりませんが、それでも私の話をしっかり聞いて理解しようとしてくれました。さらに、その方々から研究結果に対するさまざまな考え方、捉え方を聞くことができ、初めて国際学会に参加した私にはとても刺激的でした。上手くプレゼンテーションする方法や英語でディスカッションすることはまだまだ課題として残りましたが、益々研究が面白いものだと感じるようになりました。
最後に
学生生活中の研究を通して、じっくり研究に取り組み、目の前に出たデータから物事を考えていく面白さを学びました。また、国際学会では、様々な国籍の研究者にプレゼンテーションし、ディスカッションする重要性や興味深さを実感しました。研究を進める場面やプレゼンテーションでは思うようにいかないことも多々ありましたが、このことで得た経験は必ず将来役に立つと思っています。この記事に目を通してくださった学生が、少しでも研究に興味を持ってやってみようかなと思っていただけたら幸いです。
最後に、日ごろお世話になっています、八田教授をはじめ解剖学Ⅰの先生方、また、学会参加の際に様々な調整を行ってくださった学校関係者の皆様に感謝申し上げます。
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