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自己紹介
東京医科歯科大学医学部6年の吉井紗織です。2011年4月から設置された研究者養成コースに6年次から第一期生として入りました。生物学の魅力に取りつかれたのは小学生の頃で、大学に入った時には基礎研究に進むことを決めていました。趣味は音楽鑑賞、ユーフォニウム
(金管楽器) 演奏、バレエです。動物が好きで、特にネコ科全般大好きです。
研究者養成コースへの参加理由
1. 基礎研究者になりたいと思っていたため。
2. 是非ここで勉強したい、と思う研究室に出会えたため。
3. 研究者養成コースは学部から博士課程まで一貫して研究に携われる点で自分の目的に合致していると考えたため。
コース参加のきっかけと研究内容
東京医科歯科大学には4年次にProject Semester (通称プロセメ) というプログラムがあり、約5ヶ月間研究室に所属して基礎研究に取り組むことができます。2009年に私はプロセメ学生として細胞生理学分野に所属し、ミトコンドリアの品質管理に関する研究を始めました。
2008年、米国NIHのYoule博士らは、質の低下したミトコンドリアはオートファジー (細胞質の大規模な分解システム) により分解されること、それがParkinというタンパク質に依存していることを報告しました。
Parkinは、家族性Parkinson病原因遺伝子の一つであるPark2の遺伝子産物であり、家族性Parkinson病の患者で見つかった変異型Parkinでは不良ミトコンドリアのオートファジーによる分解 (Mitophagy)
が働かなくなっていることが示され、パーキンソン病とミトコンドリア品質管理異常が深くかかわることが示唆されました。
私はプロセメでそのMitophagyを定量的に解析するというテーマで研究を開始しました。当時はミトコンドリアの外膜タンパク質を指標としてミトコンドリアの分解を見ていたため、その分解にはオートファジーはあまり関係ないという、そもそもの前提を覆すかのような結果が得られました。さらに、ネガティブコントロールのつもりで使用したプロテアソーム阻害剤が効果的であったことから、ほとんどのミトコンドリア分解がプロテアソームに依存するという予想外の結果が出ました。ミトコンドリアのような大きな構造がタンパク質複合体であるプロテアソームに入ることは非常に考えにくいため、矛盾点を大きく抱えたままプロセメの半年が終わってしまいました。しかしParkin依存的ミトコンドリア品質管理にプロテアソームが関わっていそうだということは興味深いデータであり、プロセメ後も引き続き、臨床実習の傍らに解析を続けることにしました。その結果、Parkin依存的なミトコンドリア分解において、ミトコンドリアの外膜にプロテアソームが局在化し、それが多種類の外膜タンパク質を分解していること、そしてオートファジーはミトコンドリアを丸ごと分解していることが示唆されました。このことから、ミトコンドリアの品質管理にはプロテアソームによるタンパク質レベルの管理とオートファジーによるオルガネラ単位の管理が存在すると考えられました。この成果は、2011年の6月にJournal
of Biological Chemistryに発表できました(○Yoshii SR, Kishi C, Ishihara N, Mizushima
N. Parkin mediates proteasome-dependent protein degradation and rupture
of the outer mitochondrial membrane. J. Biol. Chem. 2011 Jun 3;286(22):19630-40)。また、その論文はJBCの表紙とPaper
of the Weekに選ばれ、author profileが同雑誌のウェブページで紹介されました (その一部が上の写真です)。
大学入学の時点から研究に進もうと思っていましたが、医学部の勉強が予想以上に面白いものであり、一時期は臨床に進むことも視野に入れていました。しかし、運よくこのような興味深い研究を体験でき、未知なことを自分が解明していく研究の面白さを知ってからは絶対に研究に進むと心に決めました。
将来の目標
医学部で学んだことを生かし、総合的な視野を持った研究者になりたいと思います。そして将来を担う研究者を育てられるような教育者となりたいです。まずは人生をかけられる研究テーマを探します。
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