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自己紹介
名古屋大学医学部6年の久保田晋平です。2012年4月から設置された4大学研究者育成プロジェクトに5年次から第一期生として入りました。幼稚園の頃から近視がきつく眼鏡をかけていたので“ハカセ”と呼ばれていました。刷り込みとは恐ろしいもので高校生の頃には漠然と研究者になろうと考えていたと思います。医学部には医学に関する研究を行うために入学しました。趣味はトライアスロン、登山です。
四大学研究者育成プロジェクトへの参加の動機
1. 基礎研究者になりたいと思っていたため。
2. 海外留学のサポートをしていただけるため。
プロジェクトでの実績
名古屋大学には入学後に基礎セミナーという少人数での授業があり、私はオープンキャンパスのときに話を聞き、興味を持っていた門松教授のセミナーを選択しました。この授業で私はマラリアに関する研究について調べ、生物学の面白さと対峙し、門松教授にお願いして生化学第一講座に出入りさせていただくことになりました。生化学第一講座では神経芽細胞腫の発生機序を解明するために遺伝子改変マウスを用いて組織学的解析を行いました。また毎週先輩たちと一緒に抄読会を行い門松教授の指導のもとで論文の読み方を学びました。
名古屋大学の特徴的なプログラムとして3年次に約半年間研究室に所属して基礎研究に取り組むことができる基礎医学セミナーというプログラムがあります。2009年に私は基礎医学セミナー生として神経情報薬理学講座に所属し、統合失調症の原因遺伝子の最も有力な遺伝子の一つであるDISC1に関する研究を始めました。神経情報薬理学講座では、我々の研究室が作成したDISC1
KO mouse, DISC1抗体を用いてDISC1の細胞内機能を調べるためにDISC1の局在解析を行いました。この成果は2011年の12月にHuman
Molecular Genetics に発表できました(Kuroda K, et al. Behavioral alterations associated
with targeted disruption of exons 2 and 3 of the Disc1 gene in the mouse.
Hum Mol Genet. 2011 Dec 1;20(23):4666-83. Epub 2011 )。
その他に2011年7月には東北大学の高井教授の推薦でドイツのフライブルグ大学にサマーインターンシップを行わせていただきました。ここでは主にFACSを用いた解析法を習得するために実験を行いました。その後名古屋大学の貝淵教授の推薦で2011年の8月にはドイツ、ミュンスターにあるMax
Planck Institute では血管新生に関する研究を行いました。ここでは主に生化学的な手法を学びながら遺伝子改変マウス、培養細胞を用いてタンパク質間相互作用の解析を行いました。また6年次にも貝淵先生の推薦で2012年の5月から7月にかけてアメリカ、サンディエゴにあるJ.
Craig Venter Institute で “Minimal Cell” を作成する研究を行わせていただきました。ここでは今まで行ってきた遺伝子工学実験やFACSを用いて酵母の中で目的とするゲノムを作成しています。
このように様々な研究室で実験をさせて頂いたというのは私の大学生活の特徴であると思います。学部生が研究室に所属し研究をしたいといい嫌な顔をする教授を私はみたことがありません。また同時に教授の方々は大変楽しそうに研究について話されます。もし少しでも研究に興味があるならば深く悩まず、軽い気持で教授のところに行き話を聞いてみたら良いのではないかなと思います。
養成コースに参加して思ったこと
1年次から2年次にかけては実験をすることが楽しくて、指導教官の指示通りに組織切片を解析するのを楽しんでいました。また一本の論文を読むのに大変苦労をして、どれだけ時間をかけて準備をしても質問に答えきれず翌週に持ち越したことが多々ありました。あきれずつきあって頂いた門松教授には大変感謝をしております。
3年次から6年次にかけては貝淵教授のもとでDISC1の細胞内機能を調べる研究をさせて頂きました。毎週土曜日にあるプログレスレポート、抄読会、教授とのディスカッションを通してここでは書ききれない大変多くのことを学びました。また貝淵教授に推薦して頂き
Max Planck Institute、J. Craig Venter Institute で研究をさせて頂けたことは様々な研究者と知り合うことが出来たという点でもたいへん貴重な経験となりました。
名古屋大学にはグローバルリトリートという研究者が集い合い1泊2日で研究成果を発表し、また招待講演を聞かせて頂くという大変貴重な機会があります。私は3年生の第2回NAGOYAグローバルリトリートから第4回NAGOYAグローバルリトリートに参加させて頂き大変多くの研究者と話すことが出来ました。学部生はあまり参加しておりませんがこのような研究者が集い合い、情報を交換し合うことができる環境は私にとって大変有意義であったと思います。
将来の抱負
様々な研究室で学んだことを生かし、最終的に感染症の新規治療法に役立つ仕事をしようと考えています。まずは大学院に進学して感染症の機序の解明方法となる新しいアプローチ方法を身につけたいと思います。
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