これから研究医を目指す学生が自分を語ります。
*第9回*  (H24.7.26 UP) 前回までの掲載はこちらから
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今回は大阪大学医学部医学科4年生の作田友香子さんです。

                     大阪大学医学部医学科4年 作田 友香子

中央が作田さん
 医学科4年生の作田友香子です。私は現在、生化学教室(米田悦啓教授)に所属し、米田教授と安原特任助教のご指導の下、昨年度より1年あまり「未分化ES細胞におけるimportin-α2の積み荷蛋白質の探索」というテーマで研究をさせて頂いています。
 私が研究を始めたのは、2年次の正規カリキュラムで分子細胞生物学や遺伝学、生化学、生理学の実習を行った際、実験や研究に興味を持ったことがきっかけで、折よく3年次より本格的に始まりましたMD研究者育成プログラムに参加しました。実際に研究を始めてみると、必修カリキュラムの一環としての実験と研究とは全く異なることに気付かされました。授業での実験は結果が良く知られた有名な実験ばかりですし、様々な準備を先生方がして下さり、私たち学生はいわば”いいとこどり”で予想通りの結果を容易に得ることができました。それに対して研究は、当然のことですが、結果がまだ知られていないことを明らかにするために行うものですから、その分計画や仮説を立て試行錯誤することが要求されます。初心者の私にとってはもちろん難しく感じられることもありました。しかし、どんな些細な実験結果でも、もしかすると自分が最初の発見者かもしれないという研究の醍醐味を垣間見ることもできました。
 加えて、MD研究者育成プログラムや所属研究室の先生方のサポートのおかげで、いくつかの貴重な経験をすることができました。まず昨夏には、四大学合同リトリートに参加し、同様の研究者育成プログラムを持つ他大学(東京大学、京都大学、名古屋大学)で研究をしている医学生との交流を持つことができました。また、今春には第109回日本内科学会サテライトシンポジウム「研修医、医学生の内科学会」で初めて学会発表を経験しました。発表できるデータはまだ少ないですが、発表に先立ち自身の研究活動を振り返り、日々の実験の意味を再考して今後の見通しを立てたり、他の参加者の方々の研究発表に触れて刺激を受けたりする非常に良い機会だったと感じています。学会などで触発された「よし、私ももっと頑張るぞ!」という気持ちを忘れずに、今後も地道に研究を続け、願わくば卒業までに論文の形にできればと考えています。
 このように研究をする機会に恵まれ、今や授業が終わると研究室に直行する毎日ですが、入学当初は研究を自分には縁遠いものと感じていました。というのも、私は高校時代に将来の進路を迷い、一度は法学部に入学し卒業もしましたが、人の命を救う医師になりたいという気持ちが勝り医学部に入学しました。そのような経緯から1,2年次の間は、医学を学んで臨床医になりたいという気持ちが人一倍強かったからです。医学部卒業後の進路が臨床医だけではないことはもちろん知っていました。しかし、それを自分自身にも当てはめて実感をもって考えるようになったのはここ1年ほどのことでしょう。最大のきっかけはMD研究者育成プログラムへの参加の募集でした。それを知ってふと、自ら選択肢を狭めてしまいたくないという思いが沸き上がりました。初めは本当に気軽な気持ちでした。「研究はしないと端から決めつけていたけれども、もしかしたら、研究って面白いかもしれない。だとしたら、学生のうちに体験してみよう」と。そして始めてみると、難しいが面白い研究に魅了されました。だから、研究者育成プログラムへの参加をためらっている方、いや参加を考えたこともなかった方にこそ、プログラムへの参加、研究を体験してみてほしいと思うのです。研究は誰か自分以外の特別な人がするのだろうと考えていた私が語るのもおこがましいばかりですが…。
 末尾になりましたが、昨年4月に研究室に快く迎え入れて下さった米田教授、日々ご指導くださる安原助教、そして本プログラムを立ち上げて下さった和佐先生はじめ大阪大学医学部の先生方のご尽力に感謝して私の研究活動の報告とさせて頂きます。