*第27回*  (H27.1.30 UP) 前回までの掲載はこちらから
研究医養成情報コーナートップページへ戻る
今回は秋田大学での取り組みについてご紹介します。

秋田大学における研究医養成の取り組み
文責 :  秋田大学医学部長 伊藤 宏 先生
 医学研究を志向する医学部学生に対し早期に研究の機会を与えることによって,医学・医療の急速な進歩と社会情勢の変化に対応できる若手研究者を養成することを目的とし、平成12年からMD-PhDコースをスタートさせた。また、医学科3年次の研究配属を契機として、通常の医学科カリキュラムと平行する形で自主的に研究をおこなう活動を推奨している。

MD-PhDコース

 秋田大学では、東北大学、山形大学と連携し,学部,大学院及び大学院修了後にかけての「研究医養成プログラム」の一環としてMD-PhDコースを実施している。本コースは,医学部教育4年次又は5年次終了後に休学し,大学院医科学専攻博士課程(医学履修課程)において,3年以上の教育・研究指導を経て博士の学位を取得させ,その後に学部に復学し医学部教育を受けるものである。コース設定は連携3大学で4名であり優秀な学生のみが進学することができる。

研究配属と自主的研究活動
 通常の医学科カリキュラムにおいては、2年次の5月から7月にかけての6週間、主として基礎医学系講座を一つ選び、そこに所属することで実験技術を学ぶ「研究配属」をおこなっている。多くの学生は研究配属期間のみの実習となるが、中には研究配属終了後も通常授業の終わった夕方以降や休日、夏季休暇などを利用して、研究活動を続ける学生がいる。こうした活動のアウトカムについては各講座に任せられているが、在学期間中に学会発表(外国を含む)や論文発表を行う学生が毎年1,2名程出てきている。基礎研究の重要性や楽しさを知った上で、卒業後の臨床研修を通じて新たな課題を見つけ、研究者としての視点をもって医学研究に戻ってくることを期待している。


今後の課題

 MD-PhDコースに関しては、制度開始以来進学者数は0名とほとんど機能していないのが現状である。学生への周知の徹底を図るなどの対策を講じる必要がある。また、秋田大学医学部においてはグローバルな医学教育認証に対応したカリキュラム編成をおこなっており、その中でMD-PhDコースのあり方や時期などについて見直す必要がある。

 自主的な研究活動に関しては、個々の基礎医学講座の努力によって支えられてきており、大学として積極的に支援する制度を検討している。例えば、在学中に学術雑誌に論文を発表したり、博士課程の履修単位の一部に読み替えたり、あるいは国際学会あるいは全国規模の学会で発表するなど一定の業績を挙げた学生には、博士課程への進学に対して筆記試験の免除などのインセンティブを与えるなど、研究に対する敷居を下げるなどの工夫が挙げられている。実現に向けた具体的な制度づくりが必要だろう。