*第5回*  (H24.3.30 UP) 前回までの掲載はこちらから
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今回は群馬大学での取り組みについてご紹介します。

群馬大学における研究医養成の取り組み       
(文責:群馬大学大学院医学系研究科長・医学部長(生化学分野教授) 和泉 孝志 先生)

 群馬大学医学部における研究医養成の取り組みは2つにまとめることができる。1つは少人数教育を中心とした研究マインド涵養のための授業であり、もう1つは群馬大学独自のMD-PhDコースの取り組みである。
 少人数教育を中心とした取り組みでは、先ず二年次の医論文作成チュートリアルがある。これは、2〜3人ずつのグループが1人の教員について指導を受けながら、自らの発想で医学的な課題を見つけ出し、原著論文などを読みながら医学論文にまとめていく授業で、最後はポスターを作製して発表し、お互いの投票により優秀発表を決めるものである。三年次には選択基礎医学実習がある。これは、4週間基礎医学の教室に配属になり、そこでの研究を行ってレポートを提出するものである。「選択」と名前がついているのは、希望の教室を選択できるという意味であり、授業自体は必修の授業である。医学部の基礎医学の教室だけでなく、群馬大学の附置研究所である生体調節研究所の研究室を選択したり、東京大学など他大学の教室に行ったり、海外の研究機関に行って研究する学生もいる。期間も、休みを含めて2ヶ月近く研究する学生もいる。その後、しばらくその研究室に出入りするようになる学生も多い。
 次の取り組みは、MD-PhDコースである。群馬大学医学部独自のもので、実際に大学院に入学するのではなく、学部の間に基礎医学の教室において受けた研究指導を、大学院に入学した際には1年分の研究指導として認定するものである。大学院の専攻分野は、必ずしも指導を受けた教室でなくても臨床医学の教室であってもよい。従来は4年生を対象として募集していたが、平成23年度からは3年生にまで対象を拡げた。学業成績が優秀であることが条件であるが、実際にはやる気を重視してMD-PhDコースの学生としての登録を承認している。図に示すように、この制度は平成12年度から開始されたが、徐々に登録者が増え、平成23年度には38名に達した。また、平成23年度からは、大学院の授業(医学基礎技術実習など)を受講することができる制度を始めた。大学院生と同じ基準で成績評価を行い、合格した課目は大学院に入学した際には履修済みの課目として認定する制度である。

 群馬大学は、東京大学、山梨大学、千葉大学と共に、関東4大学研究医養成コンソーシアムのメンバーである。個々の大学における研究医養成のための活動を相互に理解し、参加教員・学生の意識と意欲を高めるための合同リトリート(コンソーシアム合宿)にも参加している。研究を行っている医学生(群馬大学では主にMD-PhDコースの学生)の交流の場として、またその取組に参加している教員の情報交換の場として大変有意義な取組である。
 平成24年度からはMD-PhDコースの学生等を対象として、大学院の社会人入学制度を活用して卒後臨床研修1年目から大学院に入学することを可能にした。これは、岡山大学で行われているARTプログラムをお手本として取り入れた仕組みである。必ずしも、対象はMD-PhDコースの学生に限らないが、十分な大学院指導を行うためには大学院事前指導が望ましいと考えており、MD-PhDコースの学生でない場合は特に臨床研修センターや専攻分野の指導教官の理解と協力が必要である。平成24年度には、4名の医学科6年生が大学院を受験し、いずれも大変優秀な成績で合格した。
 以上が医学部全体の取り組みであるが、各授業においても討論や意見発表などの機会を増やすことによって、研究医として必要なプレゼンテーション能力やコミュニケーション能力の育成につとめている。 

参考URL 関東4大学研究医養成コンソーシアムのHPより
http://www.kt-mstp.umin.jp/message/gunma.html